光造形3Dプリンター用レジンの洗浄に手指消毒用アルコールはNG?IPA・高濃度エタノールが推奨される理由
- 8 分前
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光造形3Dプリンターを使用していると、レジン洗浄液についてこのような疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。
IPA(イソプロピルアルコール)が手に入りにくい
高濃度エタノールが品薄になっている
手指消毒用アルコールで代用できないか知りたい
70%前後のアルコールでも洗浄できるのか不安
特に昨今の中東情勢の影響で、アルコール類の流通状況が不安定になることもあり、「手元にある手指消毒用アルコールで洗えないか」と考える方も少なくありません。
しかし結論から言うと、手指消毒用アルコールで光造形3Dプリンター用レジンを洗浄するのはおすすめできません。
手指消毒用アルコールは60〜80%前後の濃度であることが多く、未硬化レジンを十分に除去できるだけの洗浄力を持っていないためです。
光造形レジンの洗浄で重要なのは「未硬化レジンを溶かす力」
光造形3Dプリンターの洗浄工程は、単に表面をきれいにするだけではありません。
造形物の表面に残った未硬化レジンをしっかり溶かし、除去することが目的です。
洗浄が不十分だと、表面にベタつきが残ったり、二次硬化後に白化したり、細かなディテールが潰れたりする原因になります。
そのため、洗浄液には十分な溶解力が必要です。
そして、その溶解力を大きく左右するのがアルコール濃度です。
光造形レジン洗浄液は90%以上が基本
主要な光造形3Dプリンターメーカーでは、高濃度アルコールを前提とした洗浄方法が推奨されています。
たとえば、
Formlabs:IPA90%以上を推奨。一部材料では96%以上を指定
(https://dental.formlabs.com/global/indications/restorative-models/implant-models-guide/?utm https://forum.formlabs.com/t/ipa-lifespan-with-formwash/27937/2?utm)
Phrozen:高濃度IPA(95%)または専用洗浄液を推奨
(https://helpcenter.phrozen3d.com/hc/en-us/articles/6325259121049-Choosing-the-ideal-cleaning-liquid?utm)
ASIGA:高濃度IPA(98%以上)またはエタノールを推奨
(https://support.asiga.com/washing-parts/?utm)
NextDent:医療用途のため高濃度アルコール前提
このように、多くのメーカーで共通しているのは「90%以上」が最低ラインという点です。
実際の運用では95〜99%のIPAや高濃度エタノールが使われることが一般的です。
つまり、60〜80%程度の手指消毒用アルコールは、推奨条件を満たしていません。
なぜ低濃度アルコールでは洗えないのか
理由1. 水分が多く、未硬化レジンを十分に溶かせない
アルコールは濃度が高いほど、未硬化レジンを溶かす力が強くなります。
一方で、水分量が増えると溶解力は大きく低下します。
99%:非常に高い洗浄力
90%以上:実用レベル
70%前後:洗浄力不足
手指消毒用アルコールは消毒性能を重視しているため、水分が含まれていることが多く、レジン洗浄用途には適していません。
理由2. 使い古したIPAと同じような状態になる
低濃度アルコールは、新品の高濃度IPAよりも、使い込んで劣化した洗浄液に近い状態と考えると分かりやすいです。
洗浄液の状態 | 洗浄力 |
新品の高濃度IPA | 高い |
使い古したIPA | やや低い |
低濃度アルコール | 低い |
つまり、最初から性能が落ちた洗浄液を使っているような状態になるため、十分な洗浄結果を得るのが難しくなります。
理由3. 白化やベタつきなど品質トラブルにつながる
低濃度アルコールを使用すると、水分の影響で以下のようなトラブルが発生しやすくなります。
表面が白くなる
未硬化レジンが残ってベタつく
硬化ムラが出る
積層跡が目立ちやすくなる
細部の仕上がりが悪くなる
特に歯科用モデルや高精細フィギュア、精密パーツなどでは、わずかな洗浄不足が品質に大きく影響します。
洗浄液の選定は、造形品質を左右する重要なポイントです。
手指消毒用アルコールとは用途が違う
手指消毒用アルコールは、その名の通り「手指の殺菌・消毒」を目的として作られています。
一方、光造形3Dプリンター用レジンの洗浄は、「未硬化レジンを溶かして除去する」ことが目的です。
つまり、同じアルコールでも用途がまったく異なります。
消毒用アルコールは人体への使用を前提としているため、洗浄力よりも安全性や殺菌性能が重視されています。
そのため、レジン洗浄液としては十分な性能を持っていません。
光造形3Dプリンターの洗浄液でおすすめの選び方
光造形3Dプリンターの洗浄液を選ぶ際は、以下の条件を意識するのがおすすめです。
IPAまたはエタノールは90%以上を選ぶ
アルコール濃度95〜99%のものを使用する
レジンメーカー推奨の専用洗浄液を使用する
洗浄液は定期的に交換する
汚れ落とし用と仕上げ用で二段階洗浄を行う
特に二段階洗浄は、洗浄液を長持ちさせながら品質を安定させやすいため、多くの現場で採用されています。
1回目で大まかな汚れを落とし、2回目で仕上げ洗浄を行うことで、細部まできれいに仕上げやすくなります。
どうしても低濃度アルコールしかない場合は?
どうしても高濃度IPAや高濃度エタノールが用意できない場合は、以下のような工夫で影響を抑えることはできます。
洗浄時間を長めにする
ブラシ洗浄を併用する
超音波洗浄機を使う
二段階洗浄を行う
洗浄後の乾燥時間を長めに確保する
ただし、これらはあくまで応急的な対応です。
低濃度アルコール単体での運用は、仕上がり品質や安定性の面でおすすめできません。
まとめ|光造形レジン洗浄液は「条件を満たしているか」が重要
光造形3Dプリンターの洗浄では、「アルコールなら何でも使える」というわけではありません。
重要なのは、未硬化レジンを十分に除去できる条件を満たしているかどうかです。
メーカー推奨は90%以上
実務では95〜99%が一般的
手指消毒用アルコールは60〜80%前後が多い
低濃度アルコールはレジン洗浄液の代用品にはなりにくい
洗浄不足は、造形品質の低下や後工程でのトラブルにつながります。
アルコールの流通が不安定な時期でも、できるだけ高濃度アルコールや専用洗浄液を使用し、安定した洗浄環境を整えることが大切です。

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